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新商品営業戦略の具体的な展開方法
 
=完成した生産財新商品売りの仕組みづくり=
南関東支部神奈川県会 高橋栄一

1. 中小企業の課題は「営業・マーケティング力不足」
中小企業が下請企業から脱皮し、自立化への道を切り開くために何が問題か。
東京商工会議所が平成16年に行った「経営課題に関するアンケート」によると、今後重視する経営課題で下記図の通り、1位が人材の確保・育成52.3%、2位が新技術・新商品開発41.6%、3位が販路・市場開拓41.1%となっている。
また不足している人材では1位が営業・販売担当者が61.3%、2位が企画・マーケティング担当41.2%、3位が後継者33.9%と報告されている。
これらのことからわかることは、「営業力、マーケティング力」が最大の課題となっている。
中小企業が今後重視する経営課題は何か

バブルが弾けるまで、下請中小企業であったときは、親企業からの受注を待っていて生産すれば良かった。ところが親企業の海外進出等から、発注量が大幅に減少し、また価格もアジア並みを要求されるようになり、親企業に頼った経営では成り立たなくなってきた。
中小企業基本法が平成11年12月に36年ぶりに改正され、これからの中小企業は「自立し、活力ある成長発展できる」ことを求めている。
中小企業はこれから自立するために一環として自ら、新商品・新技術の開発が必要となってきた。すなわち「モノづくり」から「商品づくり」への転換が必要になる。
商品づくり企業になるためには下記図の通り生産機能に加えて商品開発機能と販売機能を持たなければならないことになる。

2. 新商品の売れない原因は「社内にある」
中小企業から「苦労して開発できた新商品が、期待したほど売れないのでどうしたら良いか」との相談が多い。
「なぜ売れないか」を調査する方法にはいろいろあるが、手っ取り早い方法として、顧客の接点に立っている営業パーソンや関係社員から意見を出してもらうことである。
営業パーソン等から特性要因図に基づき意見を出してもらう。
この場合社長が参加すると社員の発言を抑制してしまう恐れがあるので遠慮してもらった方が良い。
新商品はなぜ売れないか


一般的には売れない原因の「80%は社内にある」と言われている。
小生が多くの企業の社員に集まってもらい意見を聞き出すとほとんどが社内問題で、特に経営方針に関することが多い。顧客や景気による外部原因は比較的少ない。社員から出された意見をまとめた上で、社長に報告し、対策を検討する。
多くの中小企業の社長は技術者や作業者からの出身者であるので、新商品や新技術の開発を得意としている。
「良い商品をつくれば売れる」という意識が強く、マーケティングの発想に欠けている。
従って社長は良い商品が売れないのは営業マンに力がないからだと思い、営業マンを叱咤する。営業マンは売れない原因を価格が高い、商品の品質が悪いと言い訳する。お互いに責任を擦り合い、どうすれば売れるかの検討ができない。
そこで「完成した生産財新商品売りの仕組みづくり」について考察し、どうすれば売れるようになるかを提案する。

3. 新商品の販売で押さえておくべき「ツボ」
  こうすれば売れるという魔法の杖はないが、下記のような基本原則を、実行することが必要である。
(1)売れる商品である
  開発した商品が自画自賛にならないために「第三者の専門機関や専門家に評価」してもらうと良い。第三者に評価してもらうと問題点や改善点が見えてくる。
その方法として、下記を紹介する。
@ 公的機関等の評価を受ける
神奈川県の場合下記の方法がある。
(a)ビジネス可能性評価制度を活用する。
 神奈川中小企業センターが実施するビジネス可能性評価制度で開発された新商品やサービスが市場で売れるかを専門家が評価してくれ、無料である。
(b)また各機関が行うビジネスプラン発表会に参加する。
 TSUNAMIビジネスプラン発表会(毎月1回)、川崎市ビジネスオーディション発表会(年7回)、よこはまビジネスプラン発表会(年2回)などがあるので、応募すると良い。
A 外部専門家に評価してもらう。
経営コンサルタントなどの専門家の意見を聞くと良い。
一番良いのは顧客の声を直接聞くことが良い。顧客がどう評価するかである。

(2)発売期(導入期)に力を入れることは「認知と実証」
商品にも人間と同じようにライフサイクルがある。
新商品の発売期(導入期)で一番力を入れる対策は「認知と実証」である。
新商品の認知を上げることと使用(実証)事例を多く作ることを徹底する。
(3)発売期(導入期)に狙う対象顧客は「イノベータ(オピニオンリーダー)」
  顧客の新商品受け入れやすさで層別すると、すぐ飛びついてくれる顧客がイノベータと言う顧客の10%ある。次にイノベータの反応を見ながら追従する顧客をアーリーアダブタと言い、20%いる。ある程度普及してきたので追従する顧客をフォロワーと言い、70%いる。新商品を販売する場合は、当然のことながらイノベータ層を狙うことになる。中小企業は、新商品を買ってもらいたい顧客や市場、業界に影響を与える顧客を開拓することである。それによって他顧客を開拓するPR材料になる。

(4)経営資源を「一点に集中する」
  中小企業はカネ、モノ、ヒト、時間などの経営資源が限られている。P.F.ドラッカーも、「成果をあげる秘訣を1つだけあげるならば、それは集中である。成果を上げる人は最も重要なことから始め、しかも一度に1つのことしかしない」と言っている。
またランチェスターの法則でも弱者が強者に勝つためには一点集中することであるといっている。見込み客を選定するにあたっては、地域、業種を広げずに、絞って、そこに戦力を集中することが重要である。
4. 売りの仕組みをつくる
新商品の販売を成功させるためには下記表のフレームに沿って展開していく。企業は必要に応じて公的機関を活用し、また他企業と提携して、戦力をより強くして、見込み客への売り込み活動を展開していく。環境、顧客の変化は早いので、今まで良かった方法でも上手くいかなくなるので、常に「仮説を立てて、実行し、検証していく」ことが必要である。その場合一番の先生は顧客である。常に顧客の声に耳を傾けていく。


 上記図に基づきキーポイントを説明する。
-1 社長の「熱き思い、考え方」を明確にする
社長は何のために新商品を開発したのかの思いを社員に伝え、そして顧客にも伝えることである。
社長は商品の販売を通じて社会に貢献したいという思いを社員と共有化することが大切である。

-2 「新商品営業戦略・中期計画」を作成する
  社長の思いや考え方をもとに社員が集まって下記内容を検討し、中期計画を作成する。そして、その内容を社長は社員に説明することが必要である。社員と共有化することが必要となる。一部の幹部だけが知っているだけでは、上手く推進できない。

(1)コンセプト 
新商品が顧客に対してどんな価値を提供できるのか。
(2)ターゲット顧客 
新商品の価値を認めてもらえる顧客は誰か。
(3)販売目標 
 今後3〜5年間にどの位の量を売りたいのか。
年度別に販売目標を設定する。
(4)どんな方法で販売するのか
   @販売チャネル
直販で売るのか、代理店経由で売るのか。
右記表の通り、それぞれの得失があるので、扱う商品によって代理店を活用するかを決定する。
直販で行う場合は営業パーソンを何名採用するのか。
比較項目 直販の場合 代理店の場合
1.販売地域 狭い 広い
2.販売コスト 高い 安い
3.粗利益率 高い 低い
4.販売力 弱い 強い
5.販売コントロール力 強い 弱い
6.売掛金回収のリスク 高い 低い
7.販売の喜び 高い 低い
8.顧客の声 多い 少ない

A広告・宣伝
どんな内容をどんな媒体を使って広告宣伝するかを決める。またどんな販売促進ツールを用意するのか。
B販売価格
市場で受け入れられる価格はいくらか。その売価に見合う製造原価はいくらかを算出する。

-3 「年度アクションプラン」を作成する
  上記営業戦略・中期計画に基づき、実現するための年度アクションプランを作成する。
アクションプラン作成に当たって営業パーソンに対して下記のような支援策を検討する。
営業パーソンへの支援
項   目 内       容
営業活動力 @営業パーソンの能力
A営業プロセスの設定
Bキーマンへのアポ取り
Bクレーム対応方法
業績評価力 @営業会議
A報奨制度
B働きやすい職場
見込み顧客発掘力 @展示会・見本市への出展
Aホームページ開設
Bセミナー・説明会の開催
信用力 @公的機関の活用
A特許権の取得
BISO認証の取得
Cオピニオンリーダーへの納入
D業界団体の指定

(1)営業パーソンの能力を評価する。
営業パーソンがいる中小企業では営業パーソンが能力を十分持っているかを評価する。
   評価する方法として営業パーソンに下記表の自己診断シートで記入してもらい、次に幹部が営業パーソンと個別面接を行う。
   小生がこの表に基づいて実施しているが、営業パーソンの能力や会社として何をすべきかが把握できる。補強すべき点があれば、その訓練や営業パーソンの入れ替えなどを行う。営業パーソンがいない場合は採用を検討する。この表に基づき面接を行うと売れない原因もわかってくる。



(2)営業プロセスを決める
   新商品をどのようなプロセスを踏めば売れるかを決める。
   たとえば、次のように営業プロセスを決める。
営業プロセスを明確にすると現在の売り込み状況がどのステップにあるかがわかる。いうなれば営業の活動の「見える化」である。また営業マンもどんな能力が必要で、不足しているかもわかるようになる。会社として何をサポートすれば良いかがわかる。一番の効果は社長が営業パーソンを叱ることなくなり、安心するようになる。社長は営業パーソンに必要に応じて見込み客への訪問の出番を作ってもらう。


(3)キーマンにアポできる
  今、営業パーソンは企業のセキユリティーの強化や多忙さで一番苦労しているのが「キーマンに会える」かである。また商談を早く成功させるためにはキーマンに会わなければならない。キーマンは大・中堅企業は部長など、中小企業は社長である。多くの営業マンは自分の職位や年齢等から初めに窓口の担当者からアプローチを始めるために、なかなかキーマンに会えず商談の成否の判断に時間がかかってしまう。キーマンに会って商談をしない限り、会ったことにならない。
そのためにキーマンに会う方法を営業パーソンにしっかり教え込む必要がある。

(4)見込み客発掘の仕掛けをつくる
  営業活動の中でもっとも大事なことは見込み客の発見である。営業マンだけに任せずに、会社としての仕掛けを講ずる必要がある。具体例を下記の通り紹介する。
@ ホームページを開設する。
ホームページは営業パーソンに代わって365日24時間宣伝してくれる。そのためには顧客に見てもらえるホームページを作る。
A 見本市や展示会に出展する。
今公的機関や業界団体が見本市や展示会を開催しているので、自社商品にあった見本市や展示会に出展すると効果がある。集客を公的機関や業界団体が行ってくれ、関心のある会社や人が来場してくれる。
当日交換した名刺をA(見込みが多いにある)、B(見込みが多少ある)、C(見込みなし)に分け、A、B先を訪問する。
B 新商品の説明会を開催する。
顧客の人集めが大変であるので、関連業界団体の会合で時間を割いてもらう。
    独自で開催する場合はホテル等でセミナーを開催し、説明後にアンケートを取り、関心のある先を訪問する。
C 業界紙(誌)に広告を掲載する。
関係業界紙(誌)に広告を出すことを条件に記事を書いてもらう。
D 社外人材を採用し、その人脈を活用するなど。
関係業界に勤務していた定年退職者や中途退職者を採用し、その人脈を活用する。

(5)信用力を高める
  中小企業は新商品が優れていても、認知度が低い上に、信用力に欠ける。
  信用力を高めるためには下記の方法がある。日本の企業は実績のない会社からの購入はためらうので公的機関等のお墨付きを活用すると良い。
@ 中小企業新事業活動促進法の認定を得る。
A ビジネス可能性評価の認定を得る。
B かながわスタンダードの認定を得る。
C 関係団体の指定を受ける。
D ビジネスプラン発表会で発表する。
E 特許権を取得する。
F ISO9001の認定を取得するなど。

(6)働きやすい職場をつくる
   営業パーソンは常に孤独である。特に新商品の発売時期はクレームも多い上になかなか売れないこともあって苦労が多い。社長は営業パーソンに対して怒ることだけでなく、その都度褒める、認める、激励することが大切である。

-4 営業活動の展開
(1)営業パーソンに年度または半期のアクションプランを作成させる。
  それに基づき月次に見込み客別の販売計画、訪問計画を作成させる。

(2)営業プロセスの進度を把握する
   社長は営業会議で独演会にならないために発言を少なくし、営業パーソンに発言させる会議に変える。そのために営業パーソンごとに対象顧客毎の売り込み進度を発表してもらう。その場で問題点がわかるので、会社としての支援すべきことを決められる。
営業パーソンも毎週進度状況を発表するとなると、迂闊な営業活動ができなくなり、真剣になる。
顧客別の売り込み進度表を作成によって、営業活動が見えるようになる。

新商品顧客別売り込み進度表

(注)進度には営業プロセスを記入する
-5 販路開拓に伴う補助金等の活用
 公的機関の支援策に販路開拓に伴う補助金等が多くあるので活用したいものである。
@中小企業新事業活動促進法の認定
   2005年4月施行された法律で、この中の「経営革新」、「新連携」の認定を受けると政府系金融機関から低利の融資や販路開拓の補助金の獲得等が得られる。またこの認定を受けると展示会等への出展費用が無料になることや、補助金をもらえることもある。
Aビジネス可能性評価、神奈川スダンダートの認定
 ビジネス可能性評価の認定を受けるとおおむね3年内に事業化できる商品が対象で、採択されると販路開拓に必要な専門家の派遣や神奈川県の制度融資、補助金、展示会出展等の利用が可能になる。
また神奈川スタンダードはビジネス可能性評価でA評価を受け、今後おおむね3年内に5億円/年以上の売上が見込める商品が対象となる。
特典は融資が8,000万円限度で原則無担保(融資期間:設備10年、運転資金7年、利率:2.1%)で借入ができる上に、ビジネス可能性評価と同様な販路開拓の支援が得られる。
B経営アドバイザー派遣制度
   販路開拓等の専門家の支援を必要とする場合は公的機関が2/3負担し、企業負担が8,400円/半日で派遣してくれる。神奈川県の場合横浜市、川崎市にも同様な制度がある。
  
(注)公的機関の支援策の紹介は中小企業庁発行の「中小企業施策利用ガイドブック」を参考にしてください。

5. 課題
 (1)新製品の寿命が短くなってきているので、新機種の開発や改良する必要がある。
顧客のニーズを常に把握し、対応していく必要がある。自社で対応できない場合は大学、公的研究所、他社と提携していくことが必要になる。
 (2)3年先を見た営業体制をどのように構築していくか。
   次のライフステージである「成長期」に備えた経営体制づくりを考えていく。社長は生産、営業、品質・サービス体制を一つ一つ実行していく必要がある。

以上
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